「………えっ」
触れた手。
握られた右手。
温かい感触に僕は横を向いた。
「だ い じ ょ う ぶ」
―――カン太、くん
口パクではありますが確かにカン太君は“大丈夫”と言ってくれました。
思わず、泣きそうなりました。
右手が温かいです。温もりが伝わってきます。カン太君が左手で握ってくれた右手から。安らぎとはこう言うものなのでしょうか。
小刻みに震える僕に気づいてくれたカン太くんは手を握ってくれました。
気がつくと既に震えは治まっています。あれほど不安定だった心情も今では落ち着いて正常です。
そんな僕をみて笑ったカン太君。―――――――――いつもの笑顔に安心しました。
きっと僕も自然と笑みを浮かべていたことでしょう。
ギュッと右手でカン太君の左手を握り返しました。カン太君に感謝の意を込めて。そしたらまた―――――あの笑みが浮かびました。
「(照れ臭いですけど、有難うございますカン太君。)」

