牙龍−元姫−






「僕がどんな人間かご存じのはずですから勿論覚悟はできていますよね?」





ニヒルな笑み。庵さんでもこんな笑い方をするですかと僕は思いました。――――鳴り止まない雨の音が虚しいです。



皆さんを変貌させた“片桐さん”が少し腹立たしく思いました。



もしかしたら皆さんは此方が本当の皆さんなのかもしれません。



だけど僕の知っている皆さんはもっと情け深い方でした。





「僕をこうさせているのは貴方なんだといい加減気づいた方がいい」





まだ醜い足掻く“片桐さん”を不快そうに冷めた瞳で見つめます。



トーンが変化せず一定でひっそりしている声色が恐怖心を煽られました。



―――‥静かな倉庫。



足掻く“片桐さん”と庵さんの声だけが響き渡ります。





「…………戒吏」





やはり最終手段は総長なのか、戒吏さんに委ねた庵さん。



聞かなくても見なくても分かります。



戒吏さんが総長にどれだけ相応しいのか、皆さんにどれだけ信用され信頼されているのか。



なのに何故“片桐さん”には分からないのでしょうか?



―――――自分が総長と謂う束ねる地位に就くに相応ではないことを。





「どうしてもと言うなら助けてやらないこともないが、どうする?」





驚いたのは“片桐さん”だけでした。



総長の言葉に目を見開いたのは“片桐さん”だけでした。