この状況に焦りが見え始めました。
慌てて庵さんに制止をかける姿は正に滑稽です。
「ま、待ってくれ!」
「見ての通り、僕は貴方の戯言に構ってやれない程度には忙しいですよ」
「……い、忙しい?」
なにが“忙しい”のか。
分かるようで分からないです。簡単に言うと、分かりたくないです。
「また何か厄介なことでも思い付いたんじゃねえだろうな、庵の奴」
溜め息をつく遼太さん。この光景を溜め息だけなんて器が大きいです。
「さっさと殺っちまえよ!」
「そう煽んじゃね〜よ。焦るなって、空。じっくり痛ぶればいいじゃねえの」
空さんは囃し立てます。蒼衣さんは相変わらず、サラッと怖いことを言いました。個性が出てます。
「僕は売られた喧嘩は丁重に買った上で徹底的に叩き潰す主義なんですよ、片桐さん?」
痛みで寝そべるに“片桐さん”は恐ろしさと緊張感で冷や汗が伝います。
僕の頬にも一筋の汗が伝ったのが分かりました。

