牙龍−元姫−






いきなり叫ばれたためアホ面を曝す“片桐さん”



しかしその顔は次第に崩れていき笑みを溢しました。まるで耐えきれないと言うように嘲ます。





「なんで俺なんだよ?あ?お姫様を裏切り者扱いしたのはテメエらだろうが」

「なら何で北に情報なんか売ったんだよ!?お前だって元々牙龍だろうが!」



















――――「牙龍?ハッ、どうでもいいんだよ」





そういい空さんを、否、牙龍を、嘲笑しました。





「俺は何でも頂点でないと嫌なんだよ。指図を承けんのも嫌いだ。元を辿れば牙龍に入ったのだって東のトップに為るためだ。この俺が頂点に君臨するのは当然のことだと思わねえか?―――――――――――――なのにッ!」





醜すぎる胸の内側を露にします。





「寿!テメエがいなきゃ俺は今頃東のトップの座に在りつけて好き放題だったんだぞ!?」





その傲慢で自分勝手な思考に誰もが冷ややかな瞳で見つめました。コイツは救いようがないと。



どうしてこの人は牙龍に居たんでしょうか?確かに僕は弱いです。喧嘩もできないです。足手まといかもしれません。でも同じ牙龍として僕はこの人が恥ずかしいと思いました。



そう思ったのは僕だけではないでしょう。きっと。





「言いたい事はそれだけでいいのかな?」





ただ事の成り行きを見ているだけで口を挟まなかった庵さんが口を開きました。



そこにはこの場に似つかわしい爽やかな微笑み。いつもの変わらない笑みのようにも見えますが、張り付けた冷たさが感じられます。





「あ?なんだ七瀬?」

「片桐さん、もう言い残すことはないの?」

「はあ?ねえよ………ッグハァ!」





庵さんが“片桐さん”に近寄りながら会話をしているところをボンヤリ眺めていた瞬間“片桐さん”はふっ飛びました。



庵さんが、殴り飛ばしたからです。