牙龍−元姫−




いま思えば、

“馬鹿げてる”



いま考えれば、

“出来すぎだ”





誰しもがそう思うでしょう。



ですが、あのときは何一つ情報もなく手懸かりさえ掴めぬまま闇雲に闇討ちに晒されるだけ。



怒りの限界も近かったときに与えられた数枚の写真――――誰もがそれを鵜呑みにしました。









人間の心理をついた行動。


心理学を知り尽くした者の仕業でしょうか。


それが“冬”


所謂白夜さんですか?








「写真?知らねえよ」




しかし総長の問いに如何わしげに否定しました。写真は知らない、と。



「そんな小賢しい真似はしない」そう付け加えて。



確かに頭が悪そうなので心理戦は得意ではなそうです。こんな計画が頭に浮かぶとは思えません。



“片桐さん”を探るような瞳で見据えたあと戒吏さんは蒼衣さんを呼びました。





「…蒼衣」

「ああ。大方白夜の仕業だろ〜な。ッたく。謀ってくれるじゃね〜の。びゃっ君捻くれすぎだぜ」

「アイツが考えそうなことだろ。抜かりがねえ。コイツがソコまで頭が回るとは思えねえしな」





“白夜”に関わりの深い蒼衣さん。そして遼太さんが吐き捨てる言う。



どんな関係なのでしょうか?聞くところあまりいい関係では無さそうです。“片桐さん”は先ほど、“元”お友達と言ってましたし。



“白夜”について話しているのを僕は聞いています。先程から変わらず遠めの場所から傍観しているだけです。











――――そんななか話を切り裂く声が聞こえました。それは悲痛の叫びで痛々しかったです。





「お前がッ……お前が変なことしなきゃ響子は俺達と居たんだ!俺達の隣に居たんだ!お前がッ……お前が全部ぶち壊したんだ!」





肩を震わせていた空さんは俯いていた顔を瞬時に上げると叫びました。その叫びに心を貫かれた人は一体何人居たのでしょうか?