牙龍−元姫−




《ビャクヤ》?



誰でしょうか?



更にざわめきが際立ちました。



知っている者と知らない者は半々と言った所でしょうか。



言わずとも僕は知らない者です。勿論隣にいるカン太君も。





「《ビャクヤ》?」




「何だそれ。」と言わんばかりに如何わしげに眉をしかめる遼太さん。知らないのでしょうか?



――――‥しかし蒼衣さんは違いました。加えていた煙草が手から落ち動揺を露にしました。




「《ビャクヤ》って白夜の事じゃねえよな〜?」

「そのまさかだ」





―――――空気が重くなった。