その点、癇癪だけど空とは違って遼はホントに手先が器用だよ。
サーフィンもやってるし海が似合う。手先も器用だし料理出来るし文句なしの男だよね―――――――――と言いたい所だけど、頭が悪いのが傷。
もし遼を尊敬しようって言う子がいたら全力で止める。でも残念ながら既に牙龍にいる。もう救いようがないよね。
「僕は遼より蒼のほうがいいと思うんだけどね」
ボソッと呟いた。
遼を尊敬するなら、まだ蒼のほうがマシだと思う、切実に。
「はあ?蒼衣?なんで?」
隣にいる空に呟きが聞こえていたのか如何わしげに聞いてきた。戒吏が煩いから聞こえないかと思った。
遼を尊敬するのも、蒼を尊敬するのも、空にとっては溝ネズミを愛でるのと同じレベルなんだと思う。
「美術家なヤツだから蒼が真面目になったらいい男だと思ったからさ。花とか絵画とか」
「……た、確かに花壇で花育ててるのは知ってるけどよ〜。あの性格だぜ?いくら何でも無理だろ!」
サーファーの遼とは裏腹、ガーデニングが趣味な蒼。こっそり美術館に足を運んでいるのを知っている。遼程でもないけど、手先も器用だ。人並みに料理も出来るし手芸なんてお手のもの。
「まあ、あのやる気のなさがなくなればいいんだけどね。無理だと思うけど」
「だろ!?ぜってえ蒼衣が真面目な男なんてあり得ねえって!寧ろ駄目男だろ!へらへらしやがって!喧嘩売ってんのかよ!」
空はまたもや熱く語りだした。
余程二人からの扱われ方に根を持っているみたい。ちょっと二人を誉めただけでコレだ。あの二人も空に何れだけ信用されてないのか呆れてしまった。
何も本気で思ってるわけじゃないよ、だいたい本気で誉めるなんて天地がひっくり返っても有り得ない。それこそ槍が降るよ。

