部屋に響く声と音に、そう思わざるを得なかった。
いつも煩いのは遼を中心に取り巻いて、蒼がそれに乗って、空が苛ついて騒ぎ、戒吏が無視。
そう思っていたけど――――――――――――蒼と遼が居なくてもそこまで変化はなかった。
可笑しいなぁ、蒼と遼が居ないはずなのに煩い。フツーは静かな筈なのに。何でだろ?
「だいたい俺でも挫折しそうなんだぜ!?遼太なんかに勉強出来るわけねえじゃん!」
「遼は頭脳より運動派だよ、体力とか底無しだし」
「あれは化け物だ…っ!」
それでも、ぎゃーぎゃーと声を荒げて騒ぎたてる空の相手をしてあげる僕は優しいと思う。
だいたい空は「俺“でも”」って過大評価し過ぎだよ。軽く二時間はやってるのにプリントはほぼ白紙だし。そりゃ挫折もするよ。
「でも意外に手先も器用だよな〜。料理もうめえし!家庭科は得意科目なんじゃね?」
「うん。空と違って」
「お、俺だってやれば出来るッ!ちょっと人より不器用なだけだ!………りょ、料理の自信はないけど」
「空には包丁なんて握らせないから安心して?」
絶対死者出るから。空の不器用さは直らないよ。もはや壊滅的だし。(リンゴの皮を剥くだけなのに、小型ナイフが飛んできた過去は未だに拭えない。)

