虚しさが襲い悲観的になる俺の隣に突然、影が掛かる。





“あのぅ”





「……ん?」






女特有の甘い声が聞こえた。



俺か?



俯いていた俺が顔を上げると目が合い甲高い声を女たちは上げた。





「きゃあ!超カッコいい!」

「お一人ですか〜?なら私たちと一緒に呑みませんか〜?」






―……参ったな



苦手だ。



こういうギャルは苦手な分類なんだよな。



露出した服には目をそらしたくなる。まだ夏にもならないこの時期にその格好はぜってえ寒いだろ。ヒールは折れそうなくらい高く細い。



傷んだ髪の毛は盛りに盛りまくってこれまでかと言う程の巻き髪。ごてごてのアイメイクはもはや山姥。



それに、この話し方。



どうも受け入れられねえんだよな、






「絶対楽しいですよお!」





困り果てる俺に何を勘違いしたのか、黒いデカイ眼を輝かせギャルは言う。長いバサバサの睫毛が、まじ怖い。



別に俺は悩んでるわけじゃないだよ。迷惑で困ってんだよ。そんな俺に気づくハズもないギャル3人はキャッキャッと騒いでいる。






こんなとき遼と蒼も居てくれれば―――――――――ああダメだ。ぜってえ更に声がかかる。極悪コンビはあの性格を除いたら顔はイケメン俳優顔負けだからな。





「俺、彼女いるんだ。」





―――――――なに言ってんだよ、俺は。



彼女いたらこんなとこで一人寂しく呑んでねえぞ。言葉をしくじった。言ったあとに若干後悔した。





「えー!嘘ー!」

「ほんと、ほんと」





嘘だけど。





「で、でもお、いま彼女居ないなら別に良くなーい?」

「そ、そうだって!1人より4人の方が楽しいじゃん?」





しつこいな、



今時のギャルってこんなにしつこいもんなのか?流石の俺でもキレる事だってあんだぞ?



あ、そうだ。



ふと浮かんだ名案に俺は直ぐさまポケットに入っていた携帯を取り出した。