問題児の極悪コンビのやり取りをみて疲れた表情をしながらも笑みをみせる慎さん。
「………相変わらずだな。お前ら」
全然変わってないと久しぶりに会った遼太と蒼衣をみて微笑む。懐かしいと言いたげに呟いた。
まるで時が昔に遡ったみたいだ。“今”と“昔”が同化しているように感じる。
――――時が過ぎ去るなかで変わるものもあれば変わらないものもある。それは時を歩む人間にとっては極自然な事。
だから慎さんは二人が自分の知っている遼太と蒼衣で少し安心した様子だった。
変わっていない二人が嬉しかった。
「そういえば“蒼っち”“遼ちん”ってなんだよ」
昔から変なアダ名多かったけど。
そう付け加え二人に問う。慎さんはふと思い出したように名前に付いて触れた。
「あー。きっとあのアホ女が呼び名が定着してきちまってんだ」
「アホ女って“寿々”って子か一回会ってみてえな。かなりぶっ飛んだ子なんだろ?」
前々からその女子生徒に関しては小耳に挟んでいた慎さん。改めて遼太の口から聞く“アホ女”に会いたくなった。

