牙龍−元姫−





彼女はどうしてスリルを求めたんだろう?…………それはきっと、下らない退屈しのぎ。



毎日毎日同じことの繰り返しの中に一時の刺激を求めてしまった。だからこそ、その些細な誘惑が崩壊を呼んでしまう。



何処かしらこの話は身近に感じ共感させる。



女の心情、心理、全てが手に取るように解ってしまう。



そのゆえ反響を呼び大ヒット作品になったのかも。



私はスリルなんていらないから平凡が欲しい。退屈な毎日でいいから平々凡々とした日を送りたい。



こんな痛い思いだってしたくない、


今だって壁に手を付き立っているだけで精一杯なのに。






こんな想いだって抱きたくない。



醜い。醜すぎる。



綺麗で優美な白鳥にはなれない醜いアヒルの子のようなわたし。


白鳥の寿々ちゃんはアヒルの私を友達だと言ってくれたのに勝手に嫉妬して醜さが増し自分で自分の首を絞めている。






苦しい



私はこんなにも汚れた人間だったのかな?



瞳から零れた一筋の涙が頬に虚しく、…伝う。



苦しくて
切なくて
―――もどかしい。



そんな気持ちが更に私を苦しめる。