自分の世界から神楽坂の廊下へと帰還したのか、照れた様に笑う。
「アタシさ、好きな人いるんだ」
これには正直ビックリした。大して何の捻りもなく思い付きで聞いた事だったから。私はてっきり…
『好きなひとー?ヒトってもともとは猿なんだよ!猿なんか好きになるわけないじゃーん!寧ろ宇宙と交信して火星人にアタックだなー!あひゃひゃ!』(妄想)
なんて少しアホっぽいふざけた答えが返ってくるかと思ってた…。正直寿々ちゃんが異性を好きになるなんて想像も付かない。
なのに返ってきたのは頬を少し赤らめて‘YES’
ネジが一本外れていて変わり者の寿々ちゃんも、一人の女の子だと言うこと。
「――――へぇ」
意外すぎて言葉が見つからない。本音をいうと身体の痛みを忘れるくらいに驚いている。自分が動揺しているのが声で分かる。