「身の程を知れってーの!アンタが牙龍の皆様といるなんて百万年早いのよ!」



色んな意味でモヤモヤする思いに悩んでいると隣から聞こえる叫びで我に返った。


忘れてた。確か友達は牙龍の追っかけだったはず。まあ。私は牙龍なんかよりも断然野々宮響子さん派だけどね。





「どうして橘さんが牙龍様といるの!?橘さんが野々宮さんの変わりだとしても天地の差じゃない!橘さんが居れるなら私でも傍に居れるじゃない!」

「彼女の変わりなんてあり得ないこと言わないで」




友達の些細な言葉に少しムカッと来てキツイ言い種になってしまった。ムカつく。凄くムカついた。だって彼女の‘変わり’なんているわけないじゃない。


橘さんはハッキリ言うと地味な上にお世辞にも可愛いとは言えないだろう。


あんな地味だから漫画のように眼鏡をとったら美人――――――――――なんてあるわけなかった。少し期待した私が馬鹿みたいだ。一度眼鏡を外した素顔を見た事があるけど平均より下の顔だった。何処にでもいるような子。







「橘さんどうやって牙龍様を誘惑したのよ〜!私だって藍原くんに抱いてもらいたい!羨ましすぎ!絶対枕交わしてるよね!?顔は対してだけど身体は良いとか!?」


「藍原くんって藍原蒼衣?」


「そう!まあ私なんて相手にして貰えないと思うけど」




ああああああああ―――‥‥‥と項垂れる友達。怒ったり悄気たり感情豊かだな〜。


確か藍原ってあの色気ムンムンの人だよね?あんな人が良いんだ。私は苦手。と言うよりも余り藍原って人は好きな方では無いかな。


だってあのヒト物凄く冷たい目をしてる。


私は恐いな、あの人。


でも藍原ってヒトは―――――――――野々宮響子さんを見るときだけは優しい目をしてた記憶がある。今は知らないけど。