ルーズリーフに描かれた2つの少女の顔。どちらの少女も幸せに満ちた満面の笑み。繋ぎあった手は離れていても繋がっている、と語りかけてくるよう。



背景には私が行きたいと何度も連呼して早苗を誘っていた場所。そのたび「ハイハイ、また今度ね〜」と軽く流された。



そして呆れ顔で「絶対つまんないって!」そうボヤかれた。



絶対聞いてないと思った。全く興味ないんだと落胆していた。



―……でもルーズリーフに書かれているのは間違いなく其の場所。見間違えるわけない。だって雑誌で何十回も何百回も眺めていたから。



その<里>は春から初夏にかけて梅や桜、バラにチューリップなど色取り取りの花が次々に開花。



開花時期に合わせて花まつりも開催される。4月には、春に行われる花まつりの中でも最大規模のイベントの"チューリップまつり"。一面に赤・黄・白・ピンクなど約180株の色鮮やかなチューリップが咲き揃う。



私はどうしてもチューリップを見に行きたかった―――――だってチューリップは私と早苗が出逢った切っ掛けだったから。



そのチューリップがルーズリーフに咲き誇ってるを見て私の涙腺は崩壊した。







………どうやって雑誌がないのにこんなにも綺麗なチューリップが描けるの?



<里>に行きたいとしか言ってないのにチューリップが描かれているのはどうして?



疑問だらけ。でもきっと早苗は迷惑そうな素振りをしながらも私が見ている雑誌を横目で見ていたんだと思う。



胸が熱くなると同時に呼吸が苦しくなる。涙が溢れて溢れて止まらない。嬉しすぎて。泣きたくなるほど切なくて。早苗に会いたくて会いたくて堪らなった。



不器用すぎるよ。早苗の馬鹿…