私がこんなにも泣くのにも理由があった。偶々見てしまったからだ。3枚目のルーズリーフに書かれたものを。



残る一枚のルーズリーフ。今度は隙間から覗き見る訳じゃなく確りと開けて中身を見る。



目に映るものに私の瞳からはまたもや涙が溢れ出す。ルーズリーフを握る手に力を込めすぎているのかグシャッと紙が崩れている。



紙に私の涙がポタポタと溢れ落ちると、彩ったクレヨンが滲む。



私の持つ紙に興味をそそられたのか机越しで前に座っていた先生は私の後ろへ移動して後ろから除き込むようにして紙を見た。



―……微かに先生の息を呑む声が聞こえた。





「これは、」





凄い………と言葉が出ないくらいに驚いた様子の先生。驚嘆の眼(まなこ)で魅入っている。





「だからクレヨンなんてあるのか聞いたのか……」





クレヨンで描かれた絵を見て涙ぐむ瞳をグシャッと歪まして笑みを作った。



とてもとても上手な絵はまるで扉絵のよう。飛び出してそのままダンスするんじゃないかと思わせるようなタッチ。



「私ね、将来漫画家になりたいんだ。……秘密だよ?」そう告げられて指切りをした2人だけの約束をした記憶が甦る。