「……これを」

「……?紙ですか?」

「ああ。預かったんだ。髪を切られた後に田中がここで書いていた野々宮宛の手紙だ」





渡されたのはルーズリーフを山折にした1枚の紙。それは早苗が書いた手紙だと先生は言う。何が書いてあるのか想像も付かず手紙を持つ指先が震える。



山折にしてある紙をソッと開けて中を開くと――――――――見慣れた早苗の文字が綴ってあった。ほんの数日間会ってないだけなのに十年来の友に会うときのような緊張感。早苗の直筆を見てなぜか懐かしい気持ちになった。












----響子へ----



まず始めにごめんなさい。

友達じゃないとか嘘だよ。

響子は私の大切な大切な友達です。いまも勿論これからも。この先ずっと大事な友達だから。

私ね?響子の引き立て役とか言われて腹立ったんだ。

響子に劣っているからとかじゃなくて、

<響子の友達>として見られていないことに。

だからってあんな事を響子に言って良いはずないよね……

ごめん……

ごめんなさい。響子




あとね?

身勝手かもしれないし

嫌ってくれて構わない

でも、

響子は私の友達。

例え離れてもそう思ってたって罰は当たらないよね?(笑)











―………1枚目のルーズリーフを読み終える頃には顔は涙でぐちゃぐちゃ。



震える手で書いたのか段々と文字が読みにくくなってきている。早苗も泣きながら書いたらしく文字が涙の跡で滲んでいる。



"(笑)"は早苗らしい照れ隠しだと思い字を撫でながら微笑んだ。