ただの噂、だけど。




あの見学会には牙龍も来て居たみたい。


彼女に魅せられた事が牙龍がこの学校への入学を決意した決め手だと。








それを聞いて私はすんなり納得した。


入学して間もないころから牙龍は彼女を〈牙龍〉に引き入れようとしていたからだ―――――――――――――姫として。


そして彼女は間もなくして牙龍の姫という位置に付いた。この学校には姫である彼女を批判するものなんて誰一人としていなかった。













でも、今は違う。





「あー、男子うざ」


「全くだね」






友達の嘆きに賛同する。



一部の男子生徒達が野々宮響子さんを睨んでいるからだ。一部と言うのは牙龍の下の奴等だろう。


それ以外の男子は相変わらず彼女を食いつくように見つめている。私からしたら此方の男子の方が殴り倒したい。幾ら彼女が可愛いからって変な目で見るな変態共め。