「……あは、はははははは!それもそうだな、こっちは6人だ!」

「負けるわけねえよな!」




さっきの情けない姿から、どこからその自信が湧いてくるのか。皮を伐ったように、吠え出した。


この静かな路地裏では声が響く。きっと大通りは夜特有の賑やかで華やかな空間。


いまこの路地裏は華やかななんて程遠く賑やかなんて欠片もない。本当に近くにある道なのかさえ、疑う。空間を隔てる壁があるのは明確だった。





―――――――俺は賑やかな場所より、この湿った重い路地裏の方が好きだけど。








「ひとつ、教えてあげようか?」




少し。本当に少しだけ機嫌が戻った俺は冥土土産に教えてあげることにした。




「今さら降伏か?」

「鬼神には色々借りがあるからな逃げようたって無駄だぜ?」







「俺が嫌いなもは、3つ」



吠える男たちを無視して、俺は土産を渡し始めた。



「一つ、女」




「はあ!?なに言ってんだコイツ」

「風見千秋っつたら女好きで有名じゃねーか!嘘こいてんじゃねーよ!」






「2つ、貶されること」



――ゾクッ





「ヒィ!」

「お、おい!どうしたんだよ!?」

「あ、あいつの眼がッ!」



光がない真っ暗闇のなか微かに俺の瞳をみた哀れな男が震え上がる







ムカつくんだよ。馬鹿にされるのって。特に馬鹿に馬鹿呼ばわりされるのが。


淡々と遠回しにお前等はバカだと言うと、顔を怒りに歪ませ叫んできた。






「テメエなめてんのか!」

「誰が馬鹿だゴラア!」