「オイ、庵」
黙る庵に麻痺を切らした遼太が肩を掴む。未だにその長い睫毛には影がかかっている。
まじで消えそうなんだけど……。しかし不謹慎ながら儚さが綺麗だと思った。
「―――何もないよ」
でもその儚げな雰囲気がいまは恐い。
庵が"何もない"そう言うときは必ず何かしらある。いや、あった後かもしれない。そんな庵を知ってか知らずか追及せずに、さらりと話を反らす遼太。
「――――へえ。で?買ってきたのかよ?コーラ」
「うん、ほら。」
「サンキュー…―――っておい!何で栄養ドリンク!?―――――――おいおい。俺の眼が可笑しくなっちまったのかよ?」
いや、遼太の眼は正常だ。俺の眼にも栄養ドリンクがはっきり見える。眼を凝らしてみるが―――――――やっぱり栄養ドリンク。
【元気のミナモトッ☆これで君もムキムキだ!!】
う、胡散臭せええええ……
コーラと思い貰ったが、ムキムキになる栄養ドリンクを貰い固まる遼太。小さい瓶に入ったドリンクを持ち固まる遼太に変な笑い声でからかう馬鹿が一人。
「うひゃひゃひゃ!栄養ドリンクって……うひゃひゃ!頑張ってムキムキになりたまえ遼太くんよ」
「死ねブス死ねブス死ねブス」