牙龍−元姫−



寝る体勢の戒吏を見る。風でサラッと流れる髪。腕で顔を覆っているため表情はわからない。


でも響子への想いの変化が現れたのは俺だけじゃなかったんだな。少し安心した。


実際、響子の名前を出しても前のように空気がピリピリしなくなった。その空気の半分はあからさまに響子を嫌っていた俺のせいだけど。






まだ授業中な為、グラウンド側の方から声が響いている。眼を閉じ――――‥‥‥すぅっと耳に入ってくる多様な音を全身で感じる。


あまりにリラックスしているため気を抜けば眠りに堕ちてしまいそうだ。





広い屋上で、たった四人

静かに時が過ぎ去る





誰もが最近、上の空


それが響子の事かはわからないけど、多分そうだよな


蒼衣も遼太も何考えてんのかさっぱりわかんねえ。特に響子の事になると尚更。


戒吏は………迷ってる?


何にって聞かれたらわかんねえけど、迷いが見栄隠れしてるよな?ここ最近も悩んでるみてえだし。


一番行動を起こしそうなのはやっぱり庵かな?


そういえば最後まで響子を庇ってたのって庵だった‥‥―――――少しも庵が羨ましい。響子を信じて疑わなかった庵が。