牙龍−元姫−

顔が真っ青なまま口を開けて固まっている俺。俺の失言のせいで空気が重くなっているのが感じ取れる。肌で犇々と…。


響子の名を出したときに横にいる寿々の瞳が輝いた気がした。今の俺には寿々が心底羨ましい。遼太から視線を感じるけど見れねえ。見る勇気がねえ。




だらだらと垂れる冷や汗。
バクバクと鼓動が加速する。













「庵は?」



ぎすぎすした空気に横槍を射したのは意外にも戒吏だった。


違う話を持ち出され拍子抜け。間抜けな声を出してしまう。そんな俺に再度問う戒吏。その完成品みたいな顔には男の俺でも見惚れる。





「あ、ああ。庵は―――――」









………?


ちょっと待てよ

庵どこに行ったんだ?