牙龍−元姫−













屋上に続く階段を、走って走って扉を潜った先には前を歩いていた蒼衣と遼太がいた。


それと、何故か戒吏が。








「こらああああああ!先に走って行くなよ!アタシに走らすなんざ何様じゃゴラア!?」



追い付いた寿々が地面を数回踏み付ける。ドスンドスンと鳴る効果音。日に日にコイツは凶暴化している。



「わりぃ」

「あ、うん。いいよ」



直ぐにケロッと笑顔を見せる寿々。いつもこんな感じだ。悪い事には悪い、善いことは善いと振り分ける真っ直ぐな奴。素直で純粋。悪く言えば騙されやすい馬鹿。



俺と寿々は三人のいるベンチ付近に近寄る。少し屋上は風が強い、でも天気はかなり良い。陽射しが程よく暖かい。



歩み寄る俺たちに気がついたのか先に屋上についていた遼太が俺の肩に腕を回してくる。重いっつーの、





「よお空ちゃーん?遅かったじゃねえか。猿とイチャラブしてたのか?」

「はあ!?何で俺が寿々と、」

「いや〜!それがさ〜空たん凄く可愛くて食べちゃったのよね〜!ぐひひひひ!」

「なっ!?お前――――!」

「まじか!?お前とうとう大人の階段をアホ女と登っちまったのかよ!」

「いや、まだだよ?もう少しだったんだけどな〜、」

「ふざけんなよお前ら!遼太黙れ!寿々も!第一俺は寿々より響子のほうがいいし!」




遼太馬鹿だろ!寿々なんかとイチャつく訳ねえだろうが!寿々も何で遼太なんかに乗ってんだよ!蒼衣なら分かるけど!でも寿々が変態だったの忘れてた!



あ………………………しまった。






さらっと失言してしまったことに気がつく。




『ふざけんなよお前ら!遼太黙れ!寿々も!第一俺は寿々より響子のほうがいいし!』






や ば い





『響子のほうがいいし!』







俺の顔は真っ青に違いない。この震えは寒さ?―――それはない。昼間でもあっていまは此処で寝れそうなくらいに陽射しが暖かい。なら今この震えは失言からか。