牙龍−元姫−

だって目を閉じれば今でも思い出せるの…








―――――――瞼の裏に映り、描いてゆく。




肌をすべる手。
舌の感覚。
愛の言葉。
心地いい優しい吐息。


私の髪を愛でるように流れる貴方の手。


私だけを見て私だけを写しこむ柔らかな瞳。




全部

全部



――――私だけのモノだと、私だけのものだと思っていた。



"思っている"んじゃない、

"思っていた"んだ、



だって今の牙龍には今の戒吏には橘さんがいるって理解した。その現実も叩きつけられた。




だからこそ、哀しい。




だからこそ、フツフツと怒りが込みあげる。


橘さんがいるのに今更私をなんて見ようとしないで!―――――――――なんて醜いことを思う。


こんな醜い感情、誰にも知られたくない。自分勝手だけど今の私にはこの感情が抑えきれないの。