門川君は何も言わずに、うな垂れている。

その表情は見えない。

両肩が・・・震えていた。



あたしは、一歩も動けなかった。

そこから先に進んではいけない気がした。



あばあ様、門川君、絹糸。

この中に入り込む資格は、あたしにはない。



しんと静まり返った空気。

厳かな終焉。

穢れのない清浄な時間。


突然に逝ってしまった者。

突然にかけがえない者を失って、残されて悲しむ者達。



あたしには・・・触れることができない。

かける言葉すらもない。



離れた場所で身動きひとつしないまま


あたしは、ただポロポロと涙をこぼし続けていた。