スッと刀を頭上に構え、気合もろとも一気に振り下ろす。

閃光が走った。

見えない壁に当たったように、刀はまったく動かない。


しばらく、彼は両腕を震わせながらその体勢で堪えていたけれど・・・


「・・・・・くっ!」

刀は、また彼の体ごと弾き返された。



門川君はなんとか踏みとどまり、出口を見据える。

睨みつけるような視線で。

そして何度も、彼は刀を振り下ろした。


何度も、何度も。



彼の息が上がってきた。

肩と胸が大きく上下する。


でも結界には微塵の変化も見られない。


「門川君・・・」

「・・・・・・・」


不安なあたしの声に彼が振り返った。

その目に浮かぶ焦燥の色。

そして、こめかみを伝う一筋の汗。



こんな彼の姿、今まで見た事も無い。

いつだって冷静沈着そのものだったのに。



あたしは、まぎれも無く

冗談抜きで

正真正銘



あぁ、今度こそ死ぬかもしれない。

そう思った。