『よく頑張ったな』 うん・・・? 眠りかけていた意識が浮上する。 なに? 門川君、いま何か言った? 『ありがとう・・・・・』 かすかに、そう聞こえた気がした。 あたしは体を起こす。 彼はもう、あたしのそばにはいなかった。 絹糸の体をそっと撫でている。 いつも通り、無造作に無表情に。 でも・・・ 彼の氷の中のお花。 その花が、優しくほころんだように感じられた。 ふふ・・・・・。 さて、どっこいしょっと。 あたしは立ち上がり、歩き出した。 彼の隣に行くために。