―― ドンッ ――

よそ見して話しながら歩いてたから、あたしは何かにぶつかってしまった。


いてて!

やだ、大胆にぶつかっちゃったよ! は、恥ずかし――!

周囲の注目、浴びちゃってないかな!?


よろけて赤面しながら周囲を素早くチラチラ。

とりあえず誰にも笑われてないのを確かめて、あたしはひと安心した。

ホッ・・・よかった。


ところであたし、いま何とぶつかったの?

壁にしちゃ妙な弾力感と適度な張り具合を感じたんだけど?


確認しようとしたあたしの目に、シャツの白い色が飛び込んできた。

あ・・・


「失敬」


ぶつかった物体から涼しげな声がした。

声を追うようにあたしは上を見上げる。


あたしがぶつかったのは・・・

背の高い男子生徒だった。


あ、ちょっとイイかも・・・。

つい見入ってしまう。