真っ白な足袋。

真っ白な鼻緒の白雪駄が目に飛び込む。

「どこでまた迷子になっているかと思ったら・・・」




白い羽織袴。『門』と『川』。

白地に黒く染められた、そのふたつの模様。

「僕に迷惑をかけるなと、再三再四、念を押したはずだ」




門。
この世界とあの世界を断絶させる普遍のもの。

「それがまた、自分で収拾できもしない騒ぎを巻き起こす」




川。
この世界とあの世界を繋ぎ流れる普遍のもの。

「君は・・・・・」




門川。


命を送り、命を流し、命を繋ぐ。


決然と世界の境目を守るべく、確固として立ちはだかるを宿命付けられた一族。



その一族に生を受けた者。

その一族の長の血を引く者。



門川 永久。

今、あたしの目の前に



彼が立っていた。