涙が、いろんな感情を洗い流してしまったみたい。

体中がすっからかんになってしまった気がする。

そんなカラッポの頭と心で、ようやくあたしは考え始めた。


これからどうしよっか・・・。



正門の前で死ぬまで泣いてるわけにもいかない。

家に帰りたい。帰れるものなら。

お父さんとお母さんが、恋しい。


・・・でも無事に家に帰れるのかな?



庭園の外は、絹糸と初めて出会った場所。

あの歪曲した空間のはず。

帰るにしても、どこをどっちにどう進めばいいんだろう。



悩むあたしの目の前には・・・

淡く、白い空気。

薄白い霧が、ほんのり煙るように周囲に立ち込めている。

天を突くような大木が見渡す限り両側に並んでいて。

まるで自分が小人になってしまったような心細さ。

そして真ん中に、一本の道。


この道を行けばいいのかな?



白い霧が、道の向こうへと流れている。

その流れに誘われるようにあたしは歩き出した。