真っ黒な丸い目をしているその生き物に手を伸ばした。


『ガリッ・・・!』

痛っ・・・!!


指先に噛み付かれた。とっさに手を引っ込める。

しま子が牙をむいて怒るとその生き物は素早く逃げてしまった。


あ・・・血、出てるや。

痛いはずだ。


指先にぷっくりと盛り上がる赤く丸い玉。

形が崩れて流れ落ちる。

「あう~・・・」

「大丈夫だよ、しま子」


大丈夫。大丈夫。

こんな血くらい大丈夫だから。

こんな血くらい・・・。


こんな・・・



こんな・・・



こんな血・・・っ。



あたしはブンッと手を振って血を振り払う。

ぽつん、と血が地面に落ちた。

すぐまた、指先に血が盛り上がる。

また振り払う。



こんな血。

こんな血。

こんな血・・・!



あたしは飽きる事無く、何度も何度も血を振り払い続けた・・・。