『そんなこと無理よ!』

『なんでだよ!?』

『当主様と長老方の決定に逆らって、生きていけると思うの!?』


今度は逆におばあ様がじー様の肩に両手を乗せた。

そして、だだっ子をなだめるように話しかける。


『鉄の掟が覆される事はない。絶対に許されないの』

『一緒に逃げよう!』

『どこへ?』

『ふたり一緒ならどこへでも!』

『地の果て、天の果てまでも追い詰められるわ』

『守ってみせる!』

『不可能よ・・・』


おばあ様の手がじー様の肩から滑り落ちた。


『それに私には、第一子としての責任があるの』

おばあ様の、苦しそうな表情。

でもハッキリとした口調。



『門川の全てを放り投げ、周りを苦しめろと?

そして自分ひとり好き勝手に生きろと?

そんな事、私は望まないし選ばない』