薄暗い夜の庭。

じー様とおばあ様が、木々に隠れるようにふたり一緒にいる。



『永世、本当なのか?』

『なにが?』

『明日、結婚するって本当なのか!?』

『・・・・・』

『永世っ!』

『ただの顔合わせよ。夫に決まった人との』

『なんだって!?』

『初めて会う人。三ヵ月後には婚礼よ』



じー様が、おばあ様の両肩をつかんで激しく揺さぶった。



『お前、それでいいのか!?』

『いいも悪いも無い。あたしの意思なんて関係ないもの』

『結婚するのはお前だぞ!』

『違う! これは門川の第一子の結婚よ!』


おばあ様が睨みつけるような目をして叫ぶ。


『お父様が、当主様が長老方と決めたこと。第一子に拒否する権利なんか一切、ないの!』