「ちょっと離してよ!」

「暴れるな。落ち着け」

「落ち着いてらんないから暴れてるの!」

頭悪いんじゃないの!? あんた!


必死に水から手を出そうとジタバタ暴れる。

しま子が慌てて、あたしの手を掴んで引っ張り上げようとした。


「鬼よ、邪魔をするなっ」

「しま子、お願いジャマして――!」

「いいから早く平常心を保てっ」


この状況で平常心も平城京もあるもんかっ!


「精神統一して念じねば、過去が映らんのだぞっ」



過去??



「これは門川に伝わる宝物。過去を映す『水絵巻』だ」


みずえまき???

あたしとしま子はお互いの顔を見合わせた。

なに? それ。



「過去に起きた出来事が、絵巻物のように、この水に映るのだ」



あたしは水の表面を見る。

ここに?