そして、その最奥にお座りあそばしてらっしゃる奥方。

この環境に負けてはならじ! とばかりに、これまた豪華。


金糸銀糸も艶やかな、総刺繍の着物や帯。

鮮やかな宝石細工の髪飾り。帯止め。



永世おばあ様の住んでる棟とは、まったく趣が違う。

こりゃあ、この嫁と姑って間違いなく仲悪いわ。



「奥方様にご挨拶をしろ」


目をしぱしぱさせてると、狐面が機嫌の悪そうな声で命令してきた。


「本来ならばお前ごとき、御簾越しでなければお会いできぬ身分なのだぞ」



ふ―――――んだっ。

相変わらず特権意識丸出し。


あたしは一応、お辞儀をして挨拶した。



「天内の娘よ。ここに来た理由はすでに知っておろう」

上品で静かな、奥方の声が響く。


「何も知らされぬ、そなたが哀れ。ここで真実を知るがよい」

「・・・・・」

「奥方様の特別なご温情だぞっ。御礼申し上げんかっ」


あたしはフンッと狐面に向かって鼻息を吹っかけてやった。

そして黙ったまま奥方を見る。