「さっきまで死んだ魚だったのが、目が輝いておるわい」

「ねぇ、おにぎりの具は!? 具!」

「梅干だ」

「きゃ~~~っ!」


あたしの好物よぉ~っ。

やっぱさ、夏はコレよねぇっ。


しっかり塩味の効いた白いご飯。

そのご飯を包む、薫り高い海苔。

ただすっぱいだけじゃない、深みのある味わいの梅干。


口の中でほろほろと、味が混じりあい・・・



んもう、絶品!

ほっぺた落ちそう~~~っ!



「ほんに、うまそうに食うのぅ」

「まったく作り甲斐があるよ」

「へ? このおにぎり門川君が作ったの?」

「ああ、そうだ」


えーっ? すごい! 上手っ。

握り方もちょうど良い固さで食べやすいし。


「わざわざ作ってくれたのっ?」

「君のハラの音があまりにうるさくてな」

「な、なによぉ、しかたないじゃんっ」

「あぁ、仕方ないから作ってやった」


もー、相変わらず冷たくて意地悪なんだから。