「最初は皆、覚醒が遅れているだけじゃろうと思うておった」


その能力を疑う者など一人としていなかった。

ところが・・・


覚醒しない。

力が発動しない。

待てど暮らせど、いつまでたっても。


さすがに、だれもが異常に気が付き始めた。



「・・・ねぇ、それってマズくないの?」

「まずい。非常にまずい」

「・・・・・だよね」



神の末裔。

世界を守り、戦う一族。

その全てを従え、頂きに君臨する者。

それが・・・


なんの能力も持たない人間。


とてもではないが、黙って見過ごせる話ではなかった。


「長い歴史の中で、こんな事態は見た事も聞いた事もなかった」

「大騒ぎになったんじゃない?」

「外部に漏れぬよう、厳重に厳重を重ねて口止めされたがな」


一族の長老たちは皆、空前絶後の大騒動。