「なんか、あちこちでよく聞く話だね」

「人のやる事は昔からなんら変わらぬ」

「えっと、じゃあ次の王様は・・・」

「華子の産んだ永継(ながつぐ)じゃよ」

「だよね。門川君のお兄ちゃん」

「そうじゃ。ところがここにきて、一大問題が発生した」


一大問題?

あたしは、しま子と顔を見合わせた。

なんだろ。


絹糸は空を見上げている。

抜けるような青。

強い日差し。揺れる木々の間の輝く木漏れ日。

体にまとわりつく強い熱気。



「永継は、門川の力を継がなかった」


「・・・・・・・え?」


「なにも、なにひとつ、一切、まるっきり、なんの力も持たずに生まれてきたんじゃよ」


「・・・・・」


「そこから、永久の運命が変わりはじめた」



セミの鳴く声が騒々しい。

どこからか風鈴の音がかすかに聞こえてくる。


暑い。

空気が熱い。