わぁいっ、美味しそう!

じゃ、あたしもいただきますっ!


スッと隙間に両手を入れ、そのまま引き戻した。


・・・・・。

あれ? 水がすくえてない。

再び手を入れ、また引き戻す。


・・・・・。


再チャレンジっ。



・・・・・・・・・。


「水を飲むのも実力次第、と言う事じゃ」

「こんな事もまだ出来ないのか? 君は」

からかい声の絹糸と、溜め息まじりの門川君の声。



なんなのも―――っ!

水まで根性が曲がってるわけ!?



普通に飲ませりゃいいじゃないの! 普通に!

『普通』って言葉、存在しないの!? ここ!


「なにさ! そんなバカにしなくてもいいじゃん!」

「バカになどしていないよ」

「してるじゃんっ」

「君を指導している立場として、自分を恥じているだけだ」


・・・やっぱりバカにしてるじゃん! 

しかも思いっきり捻くれた表現方法で!