キュッ・・・


あたしの手首をつかむ門川君の手。

ずっと離さずに、握り続けていてくれた手。

その手に、力がこめられた。



うん。そうなんだよ。

門川君はあたしをかばってくれた。

でもね、彼が「行くな」って言うから、行かないんじゃないの。



あたしが、彼のそばにいたいの。

だから、いかない。

自分で決めたの。自分の意思で。


それをここで、はっきりと伝えなきゃならないの。



門川君が、あたしをじっと見つめている。

なにも言わずに。ただ、じっと。

あたしは笑って彼を見上げた。


大丈夫だよ。

あたしが門川君のそばにいる事を選んだんだから。

門川君のせいじゃないよ。

門川君が責められることなんか、全然ないんだからね。