「あたし今、けっこう大変で。辛いし、苦しいし、泣いたりして、人生の一大事ってカンジなんですけど・・・」



あたしの意思なんて関係ないって言われたけどさ。

それは違うよ。ぜったい違う。


これはすごく大事な事なんだ。



「でも門川君がいてくれて救われているんです。彼がいてくれるから、今、あたしはここに立ってる」



あたし知ってる。

彼はいつも憎まれ口ばかり叩くクセに・・・



あたしが泣きながら寝付いた夜は、必ず、一晩中そばについていてくれてる事。

眠るあたしのそばで、涙を拭き続けてくれている事。


あの冷たい、そして優しい指先で。



隠したがってるみたいだから、気付かないフリしてるけど。



門川君。おばあ様。絹糸。しま子。


みんながいるから耐えられてる。

みんながいなきゃ、とても耐えられないんだ。


だから言わなきゃならない。

大事な事を、言うべき事を、言わなきゃ。



「あたしは、門川君がいいです。門川君じゃなきゃダメなんです」