「……ごめん、キー、借りるから。」
「…ふぁー…い。」
ガチャっ…
パタン……
「…キー、ここに置くよ。」
「…ハイ。」
「お邪魔します。」
「………はーい…。」
「……。寝室どっち?」
「…………。」
「……おーい?」
「!……はい?」
「寝る部屋!…どこ?」
「ソファー。」
「それ、違うよね。」
「………。」
「平瀬さん?」
「ソファー…。」
「…わかった。ソファーね。」
ヤバい…。
アタマがぐるぐる回っている。
完全に…思考停止。
だから早く…、
とにかく寝たい。
「…眠い。」
「待って、今降ろすから。」
…『降ろす』?
どこから…?
ユラユラゆれるこの心地よい場所がいい。
ここなら…
私、寝れるのに。
「………よいしょ…、と。」
「…………。」
「…寝てるし。」
「…………。」
「…幸せそうな顔…。」
「………幸せ?」
「あ。なんだ、起きてたの?」
「………。」
「…?寝言…?」
「……お父さん…。」
「………?」
「…………おかあ…さん。」
「…………。」
「…行かないで……。」
「…平瀬さん?」
「…か…ないで…。」
「………夢…?」
私は……
夢を見ていた。
あれから…
もうすぐ一年が経とうとしていた。
クリスマスイヴの夜。
光のページェントの中……、
私たちは歩いていた。
少女のように瞳を輝かせる母親と、
それを見て笑う父。
幸せな一日。
アーケード街を軽やかに通り抜け……
私は、先へ
先へと進む。


