「これを、日野にいる俺の兄に渡してほしい」 ごそごそと物音が聞こえる。 「ちょっと待って下さい!」 「だから辛い仕事だと言っただろう」 「逃げる事なんか出来ません!」 「逃げるんじゃねえ!これは大事な仕事だ」 「嫌です!」 「俺の命令が聞けねえのか⁉」 「しかし…!」 少しの間、沈黙が続いた。 やがて、チャキッと刀を抜く音が聞こえる。 「――命令に背くのなら、斬る」