──四月。 いつもより少し早く起きて、台所へ向かう。 「…よし」 袖をまくって、おにぎりを作り始めた。 三角の形に握っていく。 もう、桜が咲き始めてきた。 今日は、土方と桜を見に行く日だ。 「…あれ…?」 引き出しの戸を開けて、思わず唖然とした。 「何もない…」 梅干とか、かつお節とかを入れようと思っていたのに、そこには何もなかった。 「どうしよう…」