池田屋事件が無事終わり、少しだけ、心に余裕が出来ていた。 廊下を歩いていると、バッタリと土方に会った。 「松林…」 心に余裕が出来ていても、やっぱり…。 「土方、私…。初めて、人を斬った…」 思わず小さくなってしまう声で、そう告げる。 また、あの時のように、目の前が真っ暗になった。 「…大丈夫だ」 私を抱き締めながら、土方が言う。 凄く、優しい声だった。 そのお陰で、少しだけ心が軽くなる。