「姉貴……、やめてくれよ」


 と和也に言われても、「いやー」とか言って私は和也を強く抱き締め、彼の背中に頬ずりをした。ところが、


「やめろって言ってんだよ!」


 和也は怒鳴り、私を振り切ると恐い顔で睨んできた。


「和也……?」


 思いもしなかった和也の強い拒絶に遭い、唖然とする私に、


「どこかの男に抱かれた後の姉貴になんか、触られたくない」


 と和也は言った。もしかして、それって……


「ヤキモチ?」


「ち、違う!」


 和也は私から目を逸らし、「軽蔑してんだよ。姉貴の事」と言って背中を向けた。


「あんな男、もう会わないから、勘弁して?」


「ほんとに?」


「うん」


「どうせすぐに別の男を作るんだろ?」


「そんな事……」


 “ない”と言えなかった。“代わりの男”を作らないと、私は何をしでかすか分からないから。和也に対して。