優しすぎるものは人でなくても殺めることはできない。だから祖父は優しき心を持つものに興味がなかった。例えそれが自分の息子でも。孫でも。 それは家を守る当主の誇り故。 彼はそのことを小さな時から感じ取っていた。 だから彼は両親の手ではなく祖父の手を取り、心を育てていった。それは人間らしい心ではなく。化け物の心。 それが今の彼。 彼は日常を生きるために必要なものに気付く。それが欺瞞と嘘に満ちた優しさ。 彼の中には本当の優しさは1つもない。