薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~




祖母はいつの間にか姿を消した。


そして彼の両親もまた彼の兄と共に出て行った。


もうあれから一度もあっていない。否会う必要がないのだ。


彼の両親は祖父によって変わりゆく息子の姿を見ることが辛かった。


彼の心の中に冷たさが育つのを避けたかった。しかしそれが防げなかった両親たちは逃げて行った。もうこれ以上無理だと。


彼の兄は彼よりも何もかも優れていた。だから兄もまた祖父に気に入られた。しかし彼はすぐに祖父に見捨てられることになる。何故なら優し過ぎたから。