美香の言葉に僕は、はっとして門田さんをブルーシートを丸め込むように持ち、息子をぬいぐるみごと持って駐車場に走った。
美香は、先に車に乗り込みエンジンを掛けていた。
僕達が乗り込むと同時に車を発進させた。
「焼きそばが~焼きそばが~。」
後ろの席から泣き声とも怨みのこえとも取れる言葉が聞こえて来た。
「焼きそばが~。」
「あんたがいけないんだよ。
焼きそばを落とすから。
何があっても焼きそばだけは、死守しないと絶対に落としては、いけない戦いってのが男にはあるんだよ。」
僕は、息子から責められた。
そこまで焼きそばが重要かと思ったが門田さんの方を見るとそれを言えなくなった。


