その漁船を出してる人は、と聞くと次郎と言う名前しか聞いてないが、これに賭けようと美香が言うので僕は、それ以上反論しなかった。




門田さんは、SRに股がり後ろの箱の中に息子が入っていた。




息子が、箱から顔を出すとまたもやどす黒い液体を出しかけながら言った。




「お姉ちゃんう~ん美香さん英男さんよろしく頼むよ。」




門田さんが、それを見て被った人形の脇からどす黒い液体をだらだら流しながら何度も頷いた。




美香は、笑いながら頷きバイクに股がりヘルメットを被る前に僕に向かって口だけ動かし「だいじょうぶだよ」と送って来た。




僕は、頷いた。




僕の心には、恐怖感はなかった。




僕の夢は、分からない。




夢があるのさえ分からない。




だけど、エンジンを回して走り出そう。



分からないからエンジンを回そう。