コウさんの腕を強く掴んで、あたしは顔を上げる。



「話聞くまでこの手離しません」






「……ほら面倒臭いことになった。もうこれ喰った方が早いだろ」




ハルさんが心底うざそうにあたしを睨み付ける。




「コウさんはあたしのこと食べないって言いました。あたしは信じてます」






同情出来るほど大人じゃないし、助言してあげられるなんて毛頭思ってない。




知りたい。これはあたしの、ただの自己満。







「教えて下さい、コウさん」




あたしから目を逸らしたまま動かない彼の服をもう一度引く。ピクリ獣耳を揺らしたコウさんは、ゆっくりとあたしの手に触れた。





「楽しい話やないんやで、お嬢さん」



あたしを見据えるその眼差しは、困惑と迷惑の色を宿らせていて。